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【症例】他院で抜歯を勧められた奥歯を、精密根管治療で保存的に治療

2026.09.11
| 治療内容 | 根管治療 |
|---|---|
| 期間 | 約1ヶ月半 |
| 治療回数 | 5回 |
| 費用(施術当時の料金) | 精密根管治療 121,000 (税込) ファイバーコア 11,000 (税込) セラミック 63,800 (税込) |
治療前の状態・主訴
今回の患者様は、40代の女性です。
上顎の奥歯の頬側の歯茎に、ニキビのような腫れができたことをきっかけに他院を受診されました。そこで抜歯を勧められましたが、「できることなら歯を残したい」とのご希望で当院へ来院されました。
歯茎にできるニキビのような腫れは「フィステル」と呼ばれるもので、歯の周囲にたまった膿の出口としてできることがあります。
フィステルができる原因は一つではありません。
・歯そのものが割れてしまう「歯根破折」
・歯の根の先で細菌感染を起こす「根尖性歯周炎」
・奥歯では歯の根が二股・三股に分かれているため、その分岐部に細菌感染が起きる など
このように、さまざまな原因が考えられます。
治療前の様子がこちらになります。

治療詳細
今回治療を行った歯は、以前に一度根管治療を受けている歯でした。
そのため、まずは被せ物を外し、歯の内部に虫歯が残っていないか、歯に割れやヒビがないか、以前行われた根管治療がどのような状態になっているのかなど、口腔内の状態をマイクロスコープで慎重に確認しました。
マイクロスコープ下で確認したところ、歯根破折を疑うような明らかな歯の割れは認められませんでした。
そこで、内部に残っていた古い材料や虫歯を丁寧に除去し、「隔壁」と呼ばれる根管治療を行うための土台を作り直しました。
さらに、治療中に唾液や細菌が歯の中へ入り込むことを防ぐためラバーダム防湿を行い、マイクロスコープ下で再根管治療を開始しました。

根管内部の古い材料や感染した組織を除去し、洗浄・消毒を進めていくと、治療前にみられていた歯茎のニキビのような腫れは徐々に小さくなり、最終的には消失しました。
この経過から、今回の腫れについては歯根破折や歯の分岐部の問題ではなく、根の先の細菌感染による「根尖性歯周炎」が主な原因であった可能性が高いと判断しました。
症状が改善していることを確認しながら根管治療を継続し、根の中を最終的な材料で封鎖する「根管充填」まで行いました。
根管充填後もしばらく経過を確認しましたが、歯茎の腫れや痛みなどの症状が再び現れることはありませんでした。
そのため、最終的にファイバーコアによる土台を作製し、その上から被せ物を装着しました。
治療後の様子

被せ物を装着した後も使用感に問題はなく、現在もご自身の歯として使用していただいています。
主な副作用・リスク
・根管治療は、何度でも繰り返し行える治療ではありません。
特に一度治療を受けた歯を再度治療する場合には、古い材料や虫歯を除去する必要があり、その分ご自身の歯質が少なくなっていきます。
・長期的に歯根破折のリスクが高まることがあります。
今回のように根尖性歯周炎が改善し、歯茎にできていたフィステルが消失した場合でも、治療前と比べると残っている歯質は少なくなっています。
そのため、長期的には「歯根破折」と呼ばれる歯の根が割れるリスクが高くなることがあります。歯根破折が起こった場合には、歯を保存することが難しく、抜歯が必要になることもあります。
・根管の形態が複雑なため、症状が残ったり再発したり場合があります。
歯の根の中は一本の単純な管ではなく、細く湾曲していたり、途中で枝分かれしていたりと非常に複雑な形をしています。マイクロスコープを使用することで肉眼では見えない部分まで確認することができますが、それでも根の先端や細かな分岐など、すべての部分を直接確認できるわけではありません。
そのため、根尖性歯周炎が原因であったとしても、根管治療だけでは十分に感染を取り除くことができず、症状が残ったり再発したりする場合があります。その場合には、歯根端切除術などの外科的な治療や、状態によっては抜歯が必要となることもあります。
・まれに偶発症が起こる可能性があります。
再根管治療では以前に入れられた材料を除去しながら治療を進めるため、まれではありますが、歯に亀裂が入る、根管内で器具が破折する、歯の根に穿孔が生じるなどの偶発症が起こる可能性もあります。
・治療により、完全に予後を保証するわけではありません。
当院では、こうしたリスクも考慮しながら、マイクロスコープやラバーダムを使用し、できる限り歯質を温存しながら治療を行うことを大切にしています。
症状をしっかりと見極め、適切な治療で歯の温存に努めます。
今回のように、歯茎にニキビのような腫れができている歯であっても、その原因によって治療方法は異なります。
歯根破折などによって保存が難しいケースもありますが、根管内の細菌感染が原因であれば、適切な根管治療を行うことで歯を残せる可能性があります。
大船みらい歯科では、抜歯と判断する前にマイクロスコープを用いて歯の内部を拡大して確認し、「なぜ症状が起きているのか」「その歯を残せる可能性があるのか」をできる限り慎重に診断することを大切にしています。
一度根管治療をした歯の腫れが治らない方や、抜歯を勧められたものの可能であればご自身の歯を残したいという方も、お気軽にご相談ください。
大船みらい歯科 院長 森
こちらもご参照ください。
監修者情報
医療法人社団港成会 大船みらい歯科
院長 森 昂大

国立新潟大学歯学部卒/国立新潟大学医歯学総合病院研修修了
2026年より大船みらい歯科院長就任
所属・修了: JIADSペリオコース修了/ノーベルバイオケア インプラントベーシックセミナー修了/ジアズペリオインプラントアドバンスコース修了
患者様との対話と納得を最優先に、診療を行っています。大船の地域の皆様に、再治療の少ない精密な歯科医療を提供してまいります。些細なことでも気兼ねなくご相談にいらしてください。